トヨタ自動車のイメージレディ・トヨタプリティを経てレポーター、司会を務める。東京ガールズコレクションを主催する、株式会社ゼイヴェルの社長室、広報を経て2006年三菱地所株式会社都市計画事業室環境ユニットに所属。新丸ビル10Fの環境戦略拠点、エコッツェリアのオープンを機に「朝EXPOinMarunouchi」「打ち水プロジェクト」「エコキッズ探検隊」等、環境イベントを丸の内エリア全体で展開。楽しみながら出来る新しい環境の仕組み作りを展開。
三菱地所株式会社 都市計画事業室 環境ユニット
大丸有(大手町・丸の内・有楽町)エリアで働く二十四万人の就業者に向け、斬新な環境イベントを発信する三菱地所の井上奈香さん。 「街づくりを進める当社の環境への取り組みは、建物への環境に配慮した設備の積極的な導入といったハード面と、建物を使う人々の環境への意識強化というソフト面の両方からアプローチしており、私が主に取り組んでいるのはソフト面です。ここで働く方々にどう環境への意識を高めてもらうかという仕組み・仕掛けを構築しており、いわば環境問題への〝啓蒙活動〟を行っています。」
自動車会社のイメージレディやレポーターを経て、株式会社ゼイヴェルの社長秘書、広報の仕事をしていた井上さんが現在の三菱地所に転職したのは一年前。 「レポーター時に自分のやっていたことは様々な人の苦労の末に完成された台本や決め事に従って情報を発信する、最後の〝おいしいところ〟に乗っているという感覚がありました。決して自分の思いを伝えているわけではないと気付いた時、自分の仕事が楽しいと言い切れる自信が無くなってしまったんです。そんな前職時に仕事の関係でお会いする機会のあった三菱地所の方々が、本当にイキイキと仕事をしているのが印象的でした。打ち上げの席でもこれをこうしたい、あれをああしたい、って自ずと仕事の話になるんです。変なの、と思いながらもすごく気になって。」
転職を決意し、三菱地所に入社。初めて環境に関する業務に携わるようになった。朝EXPO in Marunouchi(※①)、打ち水プロジェクト(※②)など話題のエコイベントを仕掛ける井上さんの発想の原点とは。 「以前は環境のために自分ができることってあまり無いと思っていたんです。でも、『楽しくてお得で体にいい、そんな付加価値を得られる仕組みを企業が提供し、個人が環境を意識するきっかけを与えたい』という上司の説明を聞き、それなら自分にできることがあるかもしれないと思えました。プライベートでも仕事でも、楽しいことに貪欲なんです。それと、人を喜ばせることが好き。周りの人が喜ぶ姿を見ると嬉しいし、やっている自分も楽しいですよね。」
開催期間の井上さんの起床は朝四時、準備期間は睡眠時間の確保がままならないこともあるという朝EXPO。それでも早朝にイベントを開催した。 「日々忙しいビジネスパーソンにとって、朝は自分さえ早起きすれば自由に活用できる貴重な時間帯。加えて、朝ってこんなに気持ちいいんだとか、こんなに静かなんだとか、そういう丸の内の朝の良さを一回実感してもらうことで、まずは心の余裕を持ってもらいたいと思いました。そして、これをきっかけに人々の生活時間帯に変化が生じ、朝の通勤ラッシュ緩和や深夜の消費エネルギー軽減に繋がれば環境へもプラスに作用する。環境に配慮することって、気配りだと思うんです。親戚の子供が遊ぶところに緑や自然があったらもっと楽しいだろうなと感じ、それを契機に私たちの行動を省みると、あ、何か改めないといけない、っていう答えにたどり着くと思うんですね。大きなことではなく身近なことから考えてみれば、やるべきことが見えてきます。」
〝未来を見据えた街づくり〟。井上さんはこの街を愛し、そこで自ら様々な仕掛けづくりを進める自分の仕事を誇りに思う。 「日本経済の中心とも言えるこのエリアでの各種取り組みが全国的に広がる可能性を考えると、まずここで成功させる意義って大きいんです。既に朝EXPOは他の地域でも開催されることが検討されていますが、自分達の企画した取り組みが日本各所に広がっていったら、すごく嬉しいですね。エコは必要でいて楽しいもの。大好きなこの街を基点に、人々の『せざるを得ない』を『したいこと』に変えていきたいと思います。」
※①朝EXPO in Marunouchi
毎朝二十四万人が通勤する丸の内に、新しい朝の過ごし方を提案するイベント。この秋第三回を成功させ、毎回三五○○人を超える人が参加する。
※②大手町・丸の内・有楽町打ち水プロジェクト
都市部特有のヒートアイランド現象緩和に向け、大手町・丸の内・有楽町エリアで打ち水を行い、街の気温を下げるプロジェクト。